しろがねも くがねもたまも なにせむに
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作成日時 : 2006/09/09 13:12
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この夏に、冷やかし気分で『聖書』から『古事記』の解説本に手を染めて出雲神話に寄り道した。アンパンマンや日本神話まで関わって頭が混乱している。その前には相対性理論や量子論に手を出してひも理論に寄り道したのも無節操である。そこで思い出すのが『万葉集』というのもワンパターンだろう。天皇家の内乱である壬申(じんしん)の乱に関わった女性である持統天皇(じとうてんのう)は、「春過ぎて 夏来るらし 白妙の 衣干したり 天の香具山」と歌っている。余談になるが『古事記』はこの女性天皇が孫可愛さに作らせたという説もある。
今回のタイトルは山上憶良(やまのうえのおくら)の歌の上句である。後には「まされるたから こにしかめやも」だ。この人は奈良時代初期の代表歌人であり、遣唐使にも加わり伯きや筑前の国司もつとめた高級官僚である。職権で私服を肥やしたかどうかは知らない。 平仮名ではわからないから、『教科書でおぼえた名詩ネスコ編』(文藝春秋、1997年)に基づいてわかち書きに直そう。「銀も 黄金も 玉も何せむに まされる宝 子にしかめやも」である。昔の通貨は金でなく銀だったというのはご承知のこと。そういうものより子どもが大切で可愛いと解釈されている。功も名もとげた爺さんの思いのようだ。
素朴が売り物の『万葉集』はけっこう生々しい欲望も含まれているからこの歌だって実のところわからないことも多い。でも、生意気で手を焼かせる子どもが可愛いことに変わりはない。親のマネをしまいと片意地を張って生きてきたけど、似てないようで自分と同じしぐさや思考をされる子どもを見るのも煙たい。それを忘れてペットと間違える親もいる世の中である。餌を与え、可愛がれば良いものではあるまい。
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