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《おもしろい》からやめられないのはゲームだけでない。作ったり、読んだり、歩いたり、考えたり、いじったり、確めることにも《おもしろさ》にある。そういうものにつまづいて寄り道し、笑われたり鼻つまみになるのも身から出た錆だ。五十肩でクルマの運転やギターいじりができなくてもヒマつぶしの夕ネは尽きない。個人的には紆余曲折にせよ、過去・現在・未来と直線や螺旋状に進むと思い込んでいる《時間》というのも考えればキリがない。そんなわけでブログが手つかずである。 ファインマンという物理学者は名言を多く残しているそうだ。楽しい読み物であるジェニフアー・ウーレット著『黒体と量子猫2 ワンダフルな物理史[現代篇]』(ハヤカワ文庫)には彼の名言が次のように紹介されている。キーワードは《おもしろい》である。 @「知らないということは、まちがっているかもしれない答えを信じ込むより、もっとおもしろい」93頁 A「自分で作り出せないものは、理解できない」97頁 B「別になんでもないさ。おもしろいからやっているんだよ」95頁 先日読んだ橋元さんの『みんなの物理』の後遺症で高校物理の教科書を眺めている(2008/07/01「ムツカシイものは面白い?」に掲載)。それとあわせて苦手な三角関数の図解本も眺めている。橋元さんは《ハラハラドキドキの面白さこそ物理だ》というが、《シブシブヒヤヒヤの戸惑いがつきまとうのが物理や数学だ》とわたしは思う。でも少しがまんして考え方や応用例を確めると文系オヤジにもなじめるものもある。こむづかしい計算はできないが力学や電気磁気はクルマの運転、無線の利用、パソコンの組み立てに関わったから受け入れられる。それに微分や確率は経済学に欠かせない。そういうものと異って思考の《おもしろさ》につられれて何度も立ち寄って挫折するのが相対性理論である。 今読んでいるのは、内井惣七さんの『空間の謎・時間の謎』(中公新書)と橋元淳一郎さんの『時間はどこで生まれるか』(集英社新書)である。内井さんは科学哲学史の中でニュートンとライプニッツの論争を基に、マッハやアインシュタインと関わらせ《絶対時間と絶対空間》を持ち出すニュー卜ンと《時空の関係説》を主張するライプニッツを細かく対比する。図解も多くて理解しやすいものの物理の学説は素人に分かりにくい説明があるので、この方のホームページにも立ち寄ったが個性の強い学者さんのようで京大退官前のホームページは学生に対する説教もおもしろかった。内井さんは原典に忠実な解説をするから素人には取っ付きにくい。理解できない部分を他のウェッブサイトで確めるから印刷物が溜まって家族は呆れる。 それに比べると橋元さんの本は予備校講師をしていたせいか、論旨を明確にして先へ進むからなじみやすく、相対論や量子論を整理して時間や空間を語るから分かりやすい。相対論を補足する《ミンコフスキー空間》にしても数式や図解はすっきりしている。もっとも、内井さんの図解付きの詳しい説明を読んだから理解できたのだろう。そして橋元さんは物理学では当然とされている解説も忘れない。相対論における空間は虚数〔i〕だということも初めて気づいた。ピタゴラスの定理(a2乗=b2乗十c2乗)を相対論に持ち出すときa2乗=b2乗−c2乗と何んでマイナスに変るのかも付論で理解できた。ちなみに時間は実数である【橋元さんはピタゴラスの定理を4次元に展開する理由を説明してないが、ピタゴラスの定理で相対性理論が語られる本(見城・佐野共著『ピタゴラスの定理でわかる相対性理論』)もある。橋元さんの式は、ds2乗=dt2乗ーdx2乗ーdy2乗ーdz2乗です。これは非ユークリッド空間の説明をすれば複雑になるからでしょう。蛇足ですが虚数は2乗してもー1になる数です】。 いずれにしても相対論を持ち出せば時間と空間は切り離せず、《時空》という事象で語られるようだ。それは時間と空間を別物とする世界観とは異なる。ただし、相対論はニュートン力学を否定するものではなく、量子論と相容れないものもあるので受け売りはやめたい。それにしても橋元さんに「相対論や量子論のどこにも時間の向きや流れを暗示する法則はない」と言われると少し悲しい。ミクロの量子系では因果律(原因と結果の結びつき)が否定され、排中律(AならばBでなく、BならばAでない)さえ否定されると言い出されると頭がこんがらかってくる。といってカントのアプリオリ(先天的)な意思を持ち出すのも数や量で考える物理にはなじまないだろう。物理学からみた時間はそいうものとして理解するしかない。 老い先短い文系オヤジが言うことではないものの、知らないで済ませていたことを確かめるのはおもしろい。経済学を学ぶ意義はもっともらしい意見に惑わされず、自分で考えて確かめることにあるというのを思い出した(ロバート・ハイルブローナー著『入門経済思想史 世俗の思想家たち』)。これを機会に岩波文庫にあるアインシュタインの『相対性理論』(内山龍雄訳・解説)の詳細で読みやすい解説を読み流し、文だけではなじめない物理現象を『視覚でとらえるフォトサイエンス 物理図録』(数研出版)を眺めて家族に呆れられる始末である。ちなみに岩波文庫の内山さんの解説は素人にも理解できるような配慮がされていて親しめる。 【補記】 取り上げた本は門外漢の誤解が含まれています。興味がある方はご自分で読んで確かめてください。おもしろいから進めたい本に変わりありません。若い頃は苦手だった物理や数学も受験勉強を離れるとおもしろいものです。クルマ、アンテナ、パソコンに関わり、構造とか動作原理に興味を持って確かめ直した産物でしょうか。これも時の流れがさせるものなのかもしれません。わたしの寄り道はホームページにあれこれ並べていますのでひまつぶしに眺めてください。 |
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