吉野弘の『夕焼け』(4) ◇捨てられないノート58 ☆やさしさの扱われ方 4/4
それはともかく、この老人たちの描写に僕は小気味よさを感じる。「お父さん、お母さんを大切にしよう」とか、「老人を大切にしよう」といったヒューマニズムのあふれたキャンペーンにウサン臭さを感じる僕には、この詩の描写に共感するものがある。年を取ることが人間である限り避けて通れないことと認めても、年を取ったから尊敬すべきだとか、何もかもを許すべきだと僕は考えたくない。弱い者をいたわることは当然としても、老人だから弱い者とみなすのは誤解だろう。
年を取って温厚になる人がいれば、年を取って醜態を撒き散らす人も多く見かける。僕など年を取るたびにアホになっている。若いときに若いと勝手三昧し、年を取ればとったで周囲の者に《やさしさ》を強要する身勝手さを僕は許せないのである。「守るべきこと」、「してはならないこと」、「やるべきこと」を年齢とかかわりなく自覚するのが人間のわきまえであり、また、互いが気持ちよく暮らすためには自分勝手を押し通すだけではすませないと僕は思う。
●結びつきから生れる
キレイゴトを否定しながらいつの間にかそれを並べてしまった。《やさしさ》を持ち合わせていない僕も、たまにはこの娘と同じ徒労感を味わうこともあって、くどくなってしまったようだ。
与えるとか、求めるという在り方自体がナンセンスである。また、《やさしさ》や《つよさ》という尺度で測ろうとするのもナンセンスだ。そして、言葉で律しようと試みるのもナンセンスである。だが、お前はどう考えるかと反論されると明確な答えがでない。それは、人と人との結びつきの中から自然に生れるものとはいえまいか。自然に生じるというのは、決して何もしないでよいということではなく、一定の条件(共感や結びつきの存在など)の下で成り立つものだと僕は思う。それは、制度の改善ですますものでなく、僕らひとりひとりから改善していくものではなかろうか。〔1979年1月記す〕
【補記】この文章はベキ論が先行し、読み返すと気恥ずかしいものがあります。30才前の若気と笑っていただいてけっこうです。それはともかく、私も「としより」の世界に踏み込んでいますが若者に甘える気はありません。意地やプライドを捨ててまで生きたいとは思いません。私にも娘がいますが、この詩に登場する娘のような「つらさ」の体験を聞かされることがあります。ゆずった者が気恥ずかしい思いをするのも何か変な気がします。
【参考】吉野弘については私のホームページもごらんください。
経歴やその他の作品について詳説しています。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~nobu-yamada/tubuyaki08.html
年を取って温厚になる人がいれば、年を取って醜態を撒き散らす人も多く見かける。僕など年を取るたびにアホになっている。若いときに若いと勝手三昧し、年を取ればとったで周囲の者に《やさしさ》を強要する身勝手さを僕は許せないのである。「守るべきこと」、「してはならないこと」、「やるべきこと」を年齢とかかわりなく自覚するのが人間のわきまえであり、また、互いが気持ちよく暮らすためには自分勝手を押し通すだけではすませないと僕は思う。
●結びつきから生れる
キレイゴトを否定しながらいつの間にかそれを並べてしまった。《やさしさ》を持ち合わせていない僕も、たまにはこの娘と同じ徒労感を味わうこともあって、くどくなってしまったようだ。
与えるとか、求めるという在り方自体がナンセンスである。また、《やさしさ》や《つよさ》という尺度で測ろうとするのもナンセンスだ。そして、言葉で律しようと試みるのもナンセンスである。だが、お前はどう考えるかと反論されると明確な答えがでない。それは、人と人との結びつきの中から自然に生れるものとはいえまいか。自然に生じるというのは、決して何もしないでよいということではなく、一定の条件(共感や結びつきの存在など)の下で成り立つものだと僕は思う。それは、制度の改善ですますものでなく、僕らひとりひとりから改善していくものではなかろうか。〔1979年1月記す〕
【補記】この文章はベキ論が先行し、読み返すと気恥ずかしいものがあります。30才前の若気と笑っていただいてけっこうです。それはともかく、私も「としより」の世界に踏み込んでいますが若者に甘える気はありません。意地やプライドを捨ててまで生きたいとは思いません。私にも娘がいますが、この詩に登場する娘のような「つらさ」の体験を聞かされることがあります。ゆずった者が気恥ずかしい思いをするのも何か変な気がします。
【参考】吉野弘については私のホームページもごらんください。
経歴やその他の作品について詳説しています。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~nobu-yamada/tubuyaki08.html
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